芸術遺産
1884年にローマで創業したブルガリにとって、この永遠の都ローマは、尽きることのないインスピレーションの源であり、メゾンが世界的な名声を築くきっかけとなった欠かすことのできない文化的拠点です。 ブルガリの文化後援プロジェクトは、ローマとイタリアの芸術遺産を保護し、その価値ある姿を未来の世代や全世界にそのままの形で伝えることを目指しています。
芸術的遺産
"ブルガリの文化後援プロジェクトは、光を取り戻すべき、あるいは新たな視点で再発見されるべき象徴的な建造物や遺跡の修復に貢献しています。"
スペイン階段
2014年、ブルガリはローマへの恩返しの一環として、スペイン階段の修復プロジェクトに150万ユーロの寄付を行うことを約束しました。 スペイン階段は、1884年に銀細工職人ソティリオ・ブルガリが最初の店を開いたシスティーナ通りと、現在の店舗があるコンドッティ通りを結ぶ場所であり、ブルガリの歴史の中心地と言えます。このプロジェクトでは、ローマ市と緊密に連携しながら、石材の清掃、補強、保護を中心に修復作業が進められました。さらに、階段の安全性を確保するため、機能的な修復も行われました。
また、スロープ上部の壁の静的安定性の確認や、最新のLED技術を使った照明システムの刷新、16基の鋳鉄製の街灯の修復が行われた他、映像監視設備が新たに整備されました。
カラカラ浴場
カラカラ浴場は、古代ローマの栄華を伝えるローマ浴場であり、古代最大のテルマエ(公衆浴場)複合施設の一つです。2015年から2016年にかけて、ブルガリはこのカラカラ浴場の西側パライストラ(レスリング練習場)にあるモザイクの修復を支援しました。 このモザイクはローマ帝政時代の傑作であり、今もなお完全な形で残るローマの装飾芸術の一つです。 モザイクの修復作業は、文化財監督局によって実施されました。この修復作業で、優雅な扇のモチーフを特徴とする貴重な多色大理石の床モザイクが再び姿を現しました。この床モザイクは、破損を防ぐために布と土で覆われていたため、40年以上にわたって見学者の目に触れることはありませんでした。 事前清掃の後、モザイクの床は崩壊を防ぐために補強されました。この段階で、埋もれていた多くのテッセラ(モザイクの小片)が回収されたため、モザイクの欠けた部分をオリジナルのピースで埋めることが可能になりました。
トルロニア財団
2017年、ブルガリは、現存するものの中で最も重要な古典彫像の私設コレクションを強化するために、トルロニア財団と契約を締結しました。 綿密な調査の後、トルロニア財団によって精密な修復作業が行われ、その結果、コレクションに含まれる90を超えるギリシャとローマの古代彫像が本来の輝きを取り戻しました。 この修復作業は、ブルガリが永遠の都ローマの芸術遺産を保護するために行ってきた数々の取り組みの一環であり、ブルガリはこのプロジェクトに参加することで、ブランドのルーツである古代ギリシャ・ローマへの賛辞を表します。 ブルガリの資金援助により、コレクションはイタリア国内外の主要な美術館で展示され、最終的にはローマのトルロニア美術館に常設展示される予定です。
アラ・パキス
2019年、ブルガリはアラ・パキス祭壇とその美術館の展示スペースの照明を新たに灯すための資金を提供することを発表しました。 「アウグストゥスの平和の祭壇(通称アラ・パキス)」は、紀元前9年、アウグストゥス帝のローマ帝国平定を祝して披露されました。 その華麗なフリーズ(精緻に彫刻された小壁)は、初代皇帝の家族、ローマの主要な神官団、永遠の都の守護神を称えるもので、ローマ帝政初期の遺跡の中でも最も重要なものの一つです。 このプロジェクトは、建築家リチャード・マイヤーの監督と芸術指導の下、カピトリヌス文化財監督局によって2021年に完成しました。 照明の改修では、美術館の全室においてハロゲンランプが新世代のLED電球に交換され、展示スペースの照明システムも、新しいレール式可動照明の設置、照明ポイントやランプの増設によって改善されました。 この工事により、大幅な省エネとシステムのメンテナンス費用の削減が期待されます。
ラルゴ・アルジェンティーナのアレア・サクラ
ラルゴ・アルジェンティーナのアレア・サクラ(聖域)は、共和政ローマ時代最大の複合施設です。 ここには、紀元前4世紀から2世紀にかけて建てられた4つのローマ神殿の遺跡があります。ポンペイウス劇場の元老院議事堂があった凝灰岩の基壇も残っており、キケロの記述によると、ユリウス・カエサルが紀元前44年3月15日(「アイズ・オブ・マーチ」として知られる日)に暗殺された場所とされています。 この遺跡は、2019年から始まったブルガリの取り組みにより、初めてローマ市民や観光客に開放され、定期的に公開される予定です。 今後は、訪問者が安全に遺跡を探索できる歩道の設置や、現在遺産物の保管庫として使用されているエリアを博物館に転用する工事が行われ、遺跡を快適に楽しむためのサービスが整備される予定です。さらに、日没後にはムードあるイルミネーションを演出するためのLEDライトのプログラムが計画されています。
その他の後援プロジェクト
2006年、ブルガリはフォンダコ・イタリアの推進する修復プロジェクト「Restaura-Azione」の一環として、ドゥカーレ宮殿のスカラ・ドーロ(黄金階段)に残る16世紀の壮麗な金箔張りのスタッコ(漆喰)装飾の修復に資金を提供しました。 2016年には、ムラーノのサン・ピエトロ・マルティーレ教会が所蔵するパオロ・ヴェロネーゼによる2点の絵画、「砂漠の聖ヒエロニムス(Saint Jerome in the Desert)」と「牢獄で聖ペテロの訪問を受ける聖アガタ(Saint Agatha Visited in Prison by Saint Peter)」が、ブルガリの支援を受けて、ヴェネツィア・ヘリテージ財団によって修復されました。 2019年、ミラノデザインウィークへの参加を記念して、ブルガリはミラノ・プラネタリウムにおいて、ブランドを象徴するビー・ゼロワン リングにインスパイアされた、デザイン、サイエンス、そしてアートのつながりを探求する2つのインスタレーションを展示しました。 この機会に合わせて、メゾンはプラネタリウムの中央エリアに設置された330席の座席を修復し、その建築家ピエロ・ポータルッピにオマージュを捧げました。ポータルッピの特徴的な1930年代のスタイルは、モンテ・ナポレオーネ通りに位置するブルガリ店舗のデザインのインスピレーションとなり、ブルガリとミラノの街の絆を象徴しています。